総合内科
INTEMAL MEDICINE
手足のしびれ
しびれるは「痺れる」と書きます。「麻痺」という言葉にも入っている漢字なのでイメージしやすいかもしれませんが、実際に手足が麻痺したことがある方は少ないと思います。脳卒中(脳梗塞、脳出血)で手足が麻痺したことのある方は「手を触っても何も感じなくて、動かせもしなかった。手自体が大きなゴムのような感覚だった」と話されました。しかし「しびれる」と話す方はそんな方ばかりではないと思います。
力が入らない、ビリビリとした異常な感覚がある、痛みが出てきて動けなくなるなど患者さんの訴える「しびれる」には様々な状況が想定されます。どんな病気があるか少し紹介します。
脳・頭の中に原因があるしびれ
考えられる病気:脳出血、脳梗塞、脳腫瘍
脳梗塞、脳出血は主に血管の病気です。動脈硬化が進むことによって起こるので、一般的には肥満、高齢の方や糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を抱えている方に起こることが多いです。これらの原因の場合は、詰まる血管の大きさや場所により様々ですが、力が入らない、異常な感覚があるといった訴えをされる方が多いです。まずは診察を受けることが大切ですが、緊急でCTやMRIを撮影して原因検索する必要があります。
脊髄に原因があるしびれ
考えられる病気:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍
脊髄という背骨の中を通っている神経が障害されることで症状が出ます。一般的には手足の異常な感覚の多くは、骨や椎間板が脊髄を圧迫することで起きています。脊髄神経が変性する、脊髄へ通る血管が障害されるなどが原因ですが、整形外科的な要素が多いです。脊髄神経への障害で神経の所見が出るため、しびれている部位をよく診察させていただきます。
それ以外の原因
考えられる病気:糖尿病、坐骨神経痛、帯状疱疹、手根管症候群など
聞き覚えのある病気もあるかと思います。糖尿病が進行すると神経障害を起こし、その神経は部位により症状も様々です。代表的なのはアキレス腱の反射がなくなること、足の指先の感覚が鈍くなることなどです。足の色がおかしかったり、痛みを感じにくいなど気になったら相談してみましょう。坐骨神経痛は、足全体にビリビリとした異常な感覚が生じます。多くは片側だけです。座っている時間の長い方や、お尻が小さい方などは坐骨神経を圧迫しやすく症状が出やすいです。帯状疱疹は水泡を伴うブツブツが有名ですが、その前後でビリビリとした感覚が出ることもよく知られています。
緊急性の高いしびれ
脳梗塞の後でもリハビリで麻痺が治るように、神経のトラブルは早く診断し、早く治療を開始することが大切です。正座した後のしびれが数分で治るように、1-2日以内など早期に改善するものは心配不要です。
・しびれが3日以上長く続く
・しびれの症状が強くなる、または範囲が広がってくる
・しびれの以外に力が入らない、喋りにくいなど他の症状が出てくる
こういった良くならない経過は、なるべく早めに受診し、診察と検査を受けるようにしてください。