COLUMN
2020/10/09
腰痛の原因は内科疾患によるものと整形外科疾患の2つに分けられます。代表的なものをご紹介いたします。
おしっこの通り道を細菌が逆行して腎臓に感染を起こした状態です。膀胱炎と同じ排尿時痛を認め、発熱することが多いです。この場合は腎臓に小さな膿ができて感染部位となるため、右か左どちらか感染した腎臓の場所が痛くなります。治療は抗生物質を開始します。
腎臓から尿管に落ちた小さな石が尿管を詰まらせることでおしっこがうまく流れず、痛みが生じます。吐き気を伴うことが多いです。水分をあまりとらず、トイレに行かないで長い時間いると起こることがあります。夏の夜中に突然腰が痛くなると尿路結石のことが多いです。治療は坐薬による痛み止めが最も即効性があるため、すぐに使用します。
膵臓は後腹膜という背中に近い側に張り付いているため、膵臓に病気が起こると腰が痛くなることがあります。膵臓による腰痛には痛みの出方に特徴があります。腰が痛い時に、膵臓癌を心配して受診いただくことも良く経験します。しかし膵臓癌で背中や腰が痛くなる理由は、背骨の周囲の神経へ癌細胞が浸潤することによります。そういった痛みは当然進行性なので、良くなったりすることはありません。また、背中だけでなくみぞおちにも痛みが出るので、食事がとれないなど他の症状が目立つことも多いです。食事がしっかりとれていて、痛みが姿勢や日によって痛み方が変わる場合は膵臓癌ではないことが多いです。
膵炎の場合は飲酒か胆石が原因のことが多いです。こちらもただ腰が痛くなるわけではなく、食事による腹痛増悪があり、日常生活が普通には送れなくなります。お心当たりの方は腹部超音波検査や血液検査を行いますので、受診をご検討ください。
背骨には脊柱管という脊髄が通るためのトンネルがあります。そこが骨によって狭くなってしまうものです。
50-60歳代の方に良く起こります。徐々に出現する足のしびれや痛みが起こります。また、間欠性跛行(はこう)と呼ばれる歩き方が特徴的です。これは歩くと足が痛くなるのですが、休むとまた歩けるようになるという症状です。立ち上がることや歩くことで直立の姿勢を保つことで脊柱管の狭窄がさらに強くなり、脊髄の一部が締め付けられるために起こります。腰を曲げる動作で痛みは軽減します。
診断のためにはMRIでの狭窄所見の撮影が必要です。
重たいものを持ち上げた時などに急逝に発症します。足まで痛みが拡がることが多いです。この痛みやしびれの症状は、咳や物を持ち上げる動作、座る時の姿勢などにより、脊髄の内圧が上昇することで悪化します。
梨状筋とはお尻の筋肉です。お尻の筋肉により坐骨神経が圧迫されることにより生じます。坐骨神経痛の症状を呈するので椎間板ヘルニアと間違われやすいです。ズボンのポケットに財布を入れたまま座る、長時間硬いところに座ると痛みが出現します。厚めのクッションを引くなど、長時間座って過ごす時はお気を付けください。